今年完成予定の名井コンサートホールに音楽監督として就任する。「音楽を知ってる人も知らない人も関係なく、コンサートのない日でも市民が気軽に集まれるようなホールをいずれは作りたいと思っていました。」まだ39歳。三十歳台の音楽監督は世界的にも珍しい。「まさかこんなに早くチャンスが来るとは夢にも思いませんでした」と笑う。
日ごろはフランスを拠点に活躍する。首席指揮者を務めるラムルー管弦楽団では観客減から解散の危機に直面していたところを人気オーケストラへと変身させた。その手腕にホール関係者も期待を寄せる。「フランスでも、クラシックはお堅い、暗いものだと思われている。でも本当はもっと楽しいものだということを世界中の人に知ってもらいたい。特に日本では吹奏楽部などで楽器の経験者が多いにもかかわらず社会人になると音楽から離れてしまう。そういった人たちを音楽の世界に呼び戻したい」。ホールではプロの吹奏楽団によるコンサートや音楽教室も予定されている。
柿(こけら)落とし公演では師匠であるレナード・バーンスタインの「ヤング・ピープルズ・コンサート」を上演する。自身の発案で子供たちには指揮棒を配布する。「これは音楽の楽しさ、奥深さを知ってもらう特別なコンサート。音楽を聴いて踊ったり指揮棒を振ってくれれば最高です」身長187センチの堂々たる体躯(たいく)より大きな夢はさらに膨らむ。京都市出身。
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